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僕もお姉ちゃんは尊敬しているよお姉ちゃんだからしょうがないなぁと思いながら嫌々尊敬しているように見えて実際は心の底から尊敬したいという願望を抱えながらとりあえずは普通に尊敬しておくかっていう思考回路の事なかれ主義者はお姉ちゃんだからね
ヒロインを守るために死にものぐるいで修行するようなイケメンは嫌いだから存分に虐めてやればいいって結論がアンドロメダ連合議会で出たから宇宙を代表してそういう主人公を許可するって言えって野辺博士に脅迫されたんです
サバンナでも同じことが言えるのかって真顔で言ったあなたも今は檻の中で欠伸をする毎日らしいので少し早めのクリスマスプレゼントとして瓶詰めの機械式サバンナを送ってみました一ヶ月生き残れば脱出できるので頑張ってくださいね
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お姉ちゃん!!
お姉ちゃん出てきて!!
お姉ちゃんロッカーには何にもないよ!!出てきてよ!!
お姉ちゃん!!螺旋階段はどこまで降りても終わりは無いよ!!早く帰ってきてよ!!!!
お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!
お姉ちゃんの脳味噌が花畑なのは二階から落ちたときに頭を強打したからなんだよね!?笑えるよね!?
お姉ちゃんがブルブル震えるのを見たいから電気ショック装置を発明したんだよ!!だからお姉ちゃん早く出てきて!!
お姉ちゃん早く出てこい!
お姉ちゃんは来ないから白けるって言ったらお姉ちゃんが白けて僕も真っ白だよ!!
お姉ちゃん大好き!お姉ちゃんの脳味噌が大好きなの!お姉ちゃん早く出てきて!
お姉ちゃんと喧嘩したときに合い鍵で家に侵入してきた泥棒がお父さんとキスしてたのはどういう意味なの!?
モノトラレ妄想障害でお姉ちゃんのお部屋の扉が鎖でガッチリ閉められちゃってお姉ちゃんが出てこられないよ!!
お姉ちゃんの写真に気味の悪い落書きがしてあるって聞いたからお部屋で閃光型目眩に襲われて吐いちゃったの☆
お姉ちゃんに似た語感の単語が街中に溢れていて目眩が止まらないよお姉ちゃん!!!!!早く出てきてよ!!
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一億年に一度の幾何学系戦闘に巻き込まれる文明はかなり高い確率で意味の分からない暗号のような言語の文書に支離滅裂に見えるストーリー構成で記録された後に根こそぎ三角形の特殊生命形態に書き換えられる
前回の蛍光灯に関する大感謝祭で観測された土星の少年が今回は観測されなかったので蛍光灯のエンジェルリングを二重に巻き直す案が出されたがアルゴン系統の魔術師達は次回まで何とか延期できないかとやたら必死だったのでもしかしたら土星少年は孤独なのかもしれない
終末実験で小さくなったり大きくなったりを繰り返し始めて廃校の可能性が濃厚な壊滅大学の教授が衝突実験で得た経験をもとに大小化現象の七割低減作戦を土星少年が熟睡する瞬間を狙って決行したがその二秒後から壊滅大学は急激に視認性を失っていき六秒後には認識不可となった
レッスンⅦ「ひったくりの撃退法とお姉ちゃんが宇宙だった場合の対処法の共通事項」
「犬を開ければ良い」
「どうやって?」
「犬には蓋が付いている缶詰のようにな」
「ナルホド」
「ひったくりっていうのは路上でやるもんだろ?」
「そうだな」
「ってことはお姉ちゃんは路上ではひったくりに気をつける」
「そうだな」
「しかし家では気をつけないよな?だからお姉ちゃんの家に押しかけてひったくれば絶対に成功する」
「たぶんな」
「学校で鉱石標本を拾ったんだ」
「誰から?」
「お姉ちゃんから拾った」
「8ミリフィルムでハリウッド映画を作ろう!」
「8ミリじゃ無理だ!」
「大丈夫さ!」
「俺たちインド人だしここは火星だぞ!」
「多分大丈夫さ!」
「火星のインドカレーはなかなか美味いな」
「日本人の舌によくあう」
「お姉ちゃんの家に持って行こう」
人生の後半で理性は保てるのか?
「ひったくれば保てる」
「しかしそれは」
火星での話だ
神は言った
「早く原稿を用意しろ!」
よし聞け僕は二階から飛び降りながら君に恋をしたとした場合に僕の心拍数が限界を超えない可能性は三階から飛び降りた場合より高く四階から飛び降りた場合については僕は死ぬだろうだからあえて言っておこう
「この手紙を読んでいるということは僕は既に云々」
お姉ちゃんが今日はたくさんおしゃべりしてくれたからレコーダーで録音しておいたの!聞かせてあげる!!
「キュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチキュチ」
運命共同体の運命は僕の手にかかっているということは僕の運命が誰かの手にかかっている限りは僕には責任が無いので僕は今日も火星にインドカレーを食べに行くことにしたのである
「誰かの運命やいかに!」
ずっと森の中を散歩したいと思っていたけどそれは夢の中での願望だったとさっき気づいて空を見ればオーロラが輝いてあれが無数の木の葉であり空に広がる森であったならばずっと夢を見ていたんじゃないかと墜落しながら飛行士は思ったり思わなかったり
一瞬思い出してまた暗転して目の前に青い海が広がってそれが巨大な白い雲を浮かべた青い空と重なって真っ黒になってから色が薄くなっていくと砂漠が現れて空には綺麗なキノコ雲が広がって黒い点々が転がっているので近づいて見てみると鯨の背骨と一人の兵士だったんです
沼地の亡霊や荒野の狼がイギリス人飛行士の話を好むのは奴らが空を飛べばすぐにキラキラと破片や炎をまき散らしながら主観的にゆっくりと降りてきて彼らの仲間に加わるからだと撃墜王は語り手にしたピストルを眺めてから戦況は変わっと呟いて自分の頭を撃ち抜いた
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